リーディング上位の厩舎に入った馬は走るのか?
カタログをめくっていて、父や測尺と同じくらい気になるのが「どの厩舎に入るか」だと思う。 名前をよく聞く厩舎の欄を見つけると、それだけで少し評価が上がってしまう。 逆に知らない名前だと、良さそうに見えていた馬でも手が止まる。
では実際のところ、預け先の勢いは募集馬のその後とどれくらい関係しているのか。
2017〜2025年募集のうち、いま中央(JRA)に所属している594頭について、その馬の募集年の時点で担当調教師がJRAリーディングの上位に入っていたかどうかで分け、2026年9月時点の獲得賞金・通算成績と突き合わせた独自集計。
先に結論を書くと、ほとんど関係がなかった。 重賞に届く率も獲得賞金の中央値も、上位の厩舎かどうかでたいして変わらない。 それどころか線の引き方によっては、上位側のほうが数字が低い。 そしていちばんはっきり出た差は、期待とは逆向きの 「上位の厩舎に入った馬のほうが、そもそも出走にたどり着いていない」だった。
正直、書いていて拍子抜けした。ただ、こういう結果こそ載せる価値があると思うので、 弱い数字も逆向きの数字も隠さずに全部出す。
594頭
対象頭数
美浦312頭・栗東282頭
37頭
重賞を勝った馬
全体の6.2%
87頭
募集時に10位以内の厩舎
対象の14.6%
8.0% vs 5.9%
重賞馬率
10位以内 / それ以外・p=0.4478
856万 vs 782万
獲得賞金の中央値
10位以内 / それ以外・p=0.4146
「順位相関」「p値」「偏相関」といった用語は分析記事の読み方で図つきで説明しています
「上位の厩舎」をどう分けたか
分け方はできるだけ単純にした。そのうえで、ひとつだけこだわった点がある。
JRAは毎年、調教師をその年の勝利数の順に並べたリーディングを出している。 この記事では、その馬の募集年の時点でのリーディングで、担当調教師が上位何位までに 入っていたかだけを見る。基準は10位以内・20位以内・30位以内の3通りを用意した。 3つは入れ子になっていて、10位以内の馬は20位以内にも30位以内にも含まれる。
こだわったのは「募集年の時点で」というところだ。 出資を決める瞬間に手元にあるのは、その時点までのリーディングだけで、 その馬がこの先どう走るかも、厩舎がこの先どう伸びるかも分からない。 だから募集を検討している人が実際に見られる情報だけで分けることにした。 そうしないと「結果を見てから振り返れば当たっていた」という話になってしまって、 出資の判断材料としては読みようがない。
対象の馬はまだ1戦もしていない段階なので、この順位にはその馬自身の成績は一切入っていない。 「上位厩舎に入っているか」を募集時点のカタログを見ながら判定するのと、同じ条件になる。
成績の側は3つ見る。
- 重賞馬率……中央のG1〜G3・Jpn1〜3と地方重賞を合わせて1勝以上している馬の割合 (重賞の勝ち数ではなく、頭数で数える)
- 獲得賞金合計の中央値……一部の大物に極端に 引っ張られるので、平均ではなく中央値で見る
- 出走率……1走以上した馬の割合
もうひとつ大事な前置き。この記事はキャロットの募集馬がどの厩舎に入ったかの話であって、 調教師個人の優劣を測ったものではない。分けているのは「募集年のリーディングで上位に入っていたか」 という一点だけで、それ以上の細かい分類はしていない。
重賞に届く率は、ほとんど変わらない
まず重賞馬率から。3通りの線で切ると、こうなった。
リーディング順位別の重賞馬率(募集時点)
- 厩舎が上位
- 厩舎が上位外
リーディング順位別の重賞馬率(募集時点): 10位以内は厩舎が上位が重賞馬率(%)8.0(頭数87頭)、厩舎が上位外が重賞馬率(%)5.9(頭数507頭)。 20位以内は厩舎が上位が重賞馬率(%)10.3(頭数165頭)、厩舎が上位外が重賞馬率(%)4.7(頭数429頭)。 30位以内は厩舎が上位が重賞馬率(%)8.1(頭数222頭)、厩舎が上位外が重賞馬率(%)5.1(頭数372頭)
3つの分け方は入れ子。10位以内の馬は20位以内・30位以内にも含まれる。
数字で並べるとこうなる。
| 募集時のリーディング | 厩舎が上位 | 厩舎が上位外 | 差の検定 |
|---|---|---|---|
| 10位以内 | 8.0%(87頭中7頭) | 5.9%(507頭中30頭) | p=0.4478 |
| 20位以内 | 10.3%(165頭中17頭) | 4.7%(429頭中20頭) | p=0.0108 |
| 30位以内 | 8.1%(222頭中18頭) | 5.1%(372頭中19頭) | p=0.1432 |
10位以内で切ると、8.0%対5.9%。p=0.4478で差とは呼べない。いちばん厳しい線で切って、いちばん差が出そうなところなのに、ほぼ横並びだった。 (p値は「差がまったくないとしたら、これくらいの偏りが 偶然出る確率」の目安で、大きいほど「偶然でも普通に起きる」という意味になる。)
差らしい差が出るのは20位以内の線だけで、10.3%対4.7%(p=0.0108)。 ところが30位まで広げると8.1%対5.1% (p=0.1432)に戻ってしまう。
10位で差がなく、20位で出て、30位でまた消える。線をどこに引くかで出たり消えたりするわけで、 「リーディングの順位と連動している」という形にはなっていない。 本当に順位が効いているなら、上位に寄せるほど差が大きくなるはずだ。
獲得賞金の中央値は、線を広げると逆に出る
重賞は稀な出来事なので、もっと日常的な指標でも見ておきたい。 獲得賞金合計の中央値はこうなった。
リーディング順位別の獲得賞金合計の中央値(募集時点)
- 厩舎が上位
- 厩舎が上位外
リーディング順位別の獲得賞金合計の中央値(募集時点): 10位以内は厩舎が上位が獲得賞金合計の中央値(万円)856(頭数87頭)、厩舎が上位外が獲得賞金合計の中央値(万円)782(頭数507頭)。 20位以内は厩舎が上位が獲得賞金合計の中央値(万円)764(頭数165頭)、厩舎が上位外が獲得賞金合計の中央値(万円)799(頭数429頭)。 30位以内は厩舎が上位が獲得賞金合計の中央値(万円)627(頭数222頭)、厩舎が上位外が獲得賞金合計の中央値(万円)833(頭数372頭)
| 募集時のリーディング | 厩舎が上位 | 厩舎が上位外 | 差の検定 |
|---|---|---|---|
| 10位以内 | 856万円 | 782万円 | p=0.4146 |
| 20位以内 | 764万円 | 799万円 | p=0.2988 |
| 30位以内 | 627万円 | 833万円 | p=0.7533 |
10位以内は856万円対782万円。 該当側のほうが1割ほど高いが、検定はp=0.4146で、 差と呼べるほどのものではない。重賞馬率と同じで、いちばん厳しい線で切ってもこの程度だ。
20位・30位と線を広げると、今度は該当側のほうが低くなる。 30位以内では627万円対833万円で、 4分の3ほどの水準まで下がる。 ただし検定はp=0.7533で、「上位側のほうが低い」とは何も言えていない。 賞金は少数の大物と大量の0円組でばらつきが極端に大きいので、中央値が2割違っても 順位検定にはまったく出てこない。中央値の位置がずれただけ、という見方が正確だと思う。
いずれにせよ、「上位の厩舎に入ると賞金が増える」と言える数字は、どの線でも出なかった。 10位以内でわずかに上回るが誤差の範囲で、線を広げれば向きは逆になる。
いちばんはっきり出たのは、出走率の逆転
一方で、3本の線すべてで向きが揃った指標がひとつだけある。出走率だ。 しかもそれは、期待とは逆向きだった。
リーディング順位別の出走率(募集時点)
- 厩舎が上位
- 厩舎が上位外
リーディング順位別の出走率(募集時点): 10位以内は厩舎が上位が出走率(%)75.9(頭数87頭)、厩舎が上位外が出走率(%)80.9(頭数507頭)。 20位以内は厩舎が上位が出走率(%)78.2(頭数165頭)、厩舎が上位外が出走率(%)80.9(頭数429頭)。 30位以内は厩舎が上位が出走率(%)73.4(頭数222頭)、厩舎が上位外が出走率(%)84.1(頭数372頭)
| 募集時のリーディング | 厩舎が上位 | 厩舎が上位外 | 差の検定 |
|---|---|---|---|
| 10位以内 | 75.9% | 80.9% | p=0.2796 |
| 20位以内 | 78.2% | 80.9% | p=0.4594 |
| 30位以内 | 73.4% | 84.1% | p=0.0015 |
3本とも上位側が低い。ただし差の大きさは線の引き方でかなり動く。 10位以内では75.9%対80.9%で5.0ポイント、20位以内では78.2%対80.9%で2.7ポイントしかなく、 どちらも検定は通らない(p=0.2796、p=0.4594)。
はっきり通ったのは30位以内の1本だけだ。73.4%対84.1%で10ポイント以上ひらき、p=0.0015。この記事で出てきた数字のなかでは、いちばん小さいp値になる。 そしてそれが「上位の厩舎に入った馬ほど、デビューまでたどり着けていない」という向きなのが、 正直いちばん意外なところだった。
3本のうち通ったのが1本だけである以上、強い主張にはできない。 ただ、向きが3本とも同じで、しかもいちばん幅の広い線でいちばん大きく出ているのは、 重賞馬率や賞金のように「線を動かすと向きごと入れ替わる」指標とは明らかに様子が違う。 ここだけは、偶然の揺れとして片付けにくいと思う。
なぜそうなるのかは分からない。厩舎ごとの預かり頭数の構成が違うのかもしれないし、まったく別の要因かもしれないが、 この集計からは決められないので、理由は書かないでおく。 数字としてこう出た、という以上のことは言えない。
出走率は「募集年が新しい馬ほど低く出る」指標でもある(まだデビュー前の馬がいるため)。 ただし後述のとおり、直近5年(2021〜2025年募集)だけに絞っても同じ向きが出ている。
直近5年だけで見ても、上位が強い形にはならない
古い募集ぶんが結果を引っ張っている可能性もあるので、2021〜2025年募集のJRA所属366頭だけでも同じ集計をした。
| 募集時のリーディング | 指標 | 厩舎が上位 | 厩舎が上位外 | 差の検定 |
|---|---|---|---|---|
| 10位以内(n=50 / 316) | 重賞馬率 | 4.0%(2頭) | 4.1%(13頭) | 頭数不足 |
| 賞金中央値 | 444万円 | 448万円 | p=0.8618 | |
| 出走率 | 66.0% | 74.4% | p=0.2144 | |
| 20位以内(n=97 / 269) | 重賞馬率 | 9.3%(9頭) | 2.2%(6頭) | 頭数不足 |
| 賞金中央値 | 538万円 | 390万円 | p=0.5223 | |
| 出走率 | 69.1% | 74.7% | p=0.2814 | |
| 30位以内(n=141 / 225) | 重賞馬率 | 6.4%(9頭) | 2.7%(6頭) | p=0.0809 |
| 賞金中央値 | 350万円 | 588万円 | p=0.9745 | |
| 出走率 | 66.7% | 77.3% | p=0.0249 |
重賞馬率は、直近5年だと重賞馬そのものが15頭しかいないので、 10位以内・20位以内の線では検定に足りる頭数にならない(数字は参考として載せてある)。
賞金中央値は、9年ぶんと違って向きが揃わない。 10位以内は444万円対448万円でほぼ同額、 30位以内は350万円対588万円で上位側が低いが、 20位以内だけは538万円対390万円と上位側のほうが高い。 ただしどれも検定は通らず(p=0.8618/p=0.5223/p=0.9745)、 頭数が減ったぶん中央値が動きやすくなっているだけ、と読むのが妥当なところだ。 どちらに転んでも、線の引き方ひとつで向きが変わる程度の差しかない。
一方、出走率は9年ぶんと同じ形になった。3本とも上位側が低く (66.0%対74.4%、69.1%対74.7%、66.7%対77.3%)、通ったのはやはり30位以内の1本だけ(p=0.0249)。 9年ぶんで見えた形が、直近5年に絞っても同じ場所に残っている。
要するに、古い募集ぶんを外しても「上位の厩舎だから走る」という形は出てこない。 出てくるのは、相変わらず出走率の逆向きだけだ。
実際にどんな馬がいたか
率の話ばかりでも面白くないので、重賞を勝った37頭を実際に並べておく。
594頭のうち重賞を勝ったのは37頭。 募集時点の担当調教師の順位で内訳を取るとこうなる。
重賞を勝った37頭の内訳(募集時点の担当調教師のリーディング順位)
重賞を勝った37頭の内訳(募集時点の担当調教師のリーディング順位): 10位以内 頭数 7頭、 11〜20位 頭数 10頭、 21〜30位 頭数 1頭、 30位外 頭数 19頭
37頭のうち19頭、半分以上が30位外の厩舎から出ている。母数を考えれば当然でもある(30位以内の厩舎に入るのは594頭中222頭で、 全体の37%)。 ただ、率でも差がついていない以上、ここは素直に「どちらからも同じくらい出る」と読める。
なお「30位外」といっても、19頭のうち17頭は 具体的な順位まで分かっていて、31位から163位まで幅広く散らばっている。 リーディングにまったく名前が出てこない(順位が付かない)のは2頭だけだ。下の表では、その具体的な順位をそのまま出している。
もうひとつ、賞金の分布を見ると分かりやすい形が出ている。
獲得賞金5億円超の6頭は、募集時の順位がばらばらに散らばっている
37頭のうち、獲得賞金が5億円を超えているのは6頭。その内訳は10位以内が1頭・11〜20位が2頭・30位外が3頭で、いちばん多いのは30位外だった。 最高額はエフフォーリア(2019年募集・一口7万円・鹿戸雄一(美浦)厩舎・募集時37位)の7億7,663万円。 以下、タスティエーラ(2021年募集・一口7万円・堀宣行(美浦)厩舎・募集時14位)の6億5,897万円、ヴェラアズール(2018年募集・一口4万円・渡辺薫彦(栗東)厩舎・募集時74位)の5億4,968万円と続く。 この6頭だけで、10位以内・11〜20位・30位外の3区分すべてに顔を出している。
募集時10位以内の厩舎からも大物は出ている。この区分の7頭でいちばん稼いだのはサートゥルナーリア(2017年募集・ 一口35万円・角居勝彦(栗東)厩舎・ 募集時3位)の5億2,358万円だ。 ただし一口35万円は37頭のなかで最も高い募集価格で、 回収率にすると約374%になる。5億円超の6頭のなかでは いちばん低い(エフフォーリアは約2,774%、ヴェラアズールは約3,435%、タスティエーラは約2,353%)。
つまり、大物そのものは預け先の順位で線を引けない。 どの区分からも出ているし、区分ごとの頭数の差も母数を考えれば説明がつく範囲だ。 むしろ差が出ているのは回収率のほうで、そちらは「安く募集された馬が大化けした」 圏外側に分がある。
募集時に30位以内だった厩舎側(18頭のうち賞金上位6頭)
| 馬名 | 厩舎 | 募集時の担当厩舎 | 募集年 | 誕生月 | 体高 | 胸囲 | 馬体重 | 母齢 | 一口価格 | 主な勝鞍 | 通算成績 | 獲得賞金合計 | 回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タスティエーラ | 堀宣行(美浦) | 14位 | 2021年 | 3月 | 158cm | 176cm | 478kg | 7歳 | 7万円 | 23'日本ダービー(G1) | 15戦4勝 | 65,897万円 | 2353% |
| サートゥルナーリア | 角居勝彦(栗東) | 3位 | 2017年 | 3月 | 156cm | 179cm | 484kg | 15歳 | 35万円 | 19'皐月賞(G1) | 10戦6勝 | 52,358万円 | 374% |
| ヘデントール | 木村哲也(美浦) | 18位 | 2022年 | 4月 | 154cm | 173.5cm | 444kg | 9歳 | 9万円 | 25'天皇賞(春)(G1) | 11戦6勝 | 51,610万円 | 1434% |
| シックスペンス | 田中博康(美浦) | 16位 | 2022年 | 4月 | 151cm | 173cm | 429kg | 9歳 | 12.5万円 | 26'安田記念(G1) | 14戦6勝 | 42,069万円 | 841% |
| レイパパレ | 高野友和(栗東) | 18位 | 2018年 | 1月 | 155cm | 169cm | 420kg | 15歳 | 15万円 | 21'大阪杯(G1) | 15戦6勝 | 39,314万円 | 655% |
| クリソベリル | 音無秀孝(栗東) | 6位 | 2017年 | 2月 | 161.5cm | 179.5cm | 498kg | 15歳 | 14万円 | 19'チャンピオンズC(G1) | 11戦8勝 | 37,960万円 | 678% |
募集時に30位圏外だった厩舎側(19頭のうち賞金上位6頭)
| 馬名 | 厩舎 | 募集時の担当厩舎 | 募集年 | 誕生月 | 体高 | 胸囲 | 馬体重 | 母齢 | 一口価格 | 主な勝鞍 | 通算成績 | 獲得賞金合計 | 回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エフフォーリア | 鹿戸雄一(美浦) | 37位 | 2019年 | 3月 | 158cm | 176.5cm | 489kg | 10歳 | 7万円 | 21'有馬記念(G1) | 11戦6勝 | 77,663万円 | 2774% |
| ヴェラアズール | 渡辺薫彦(栗東) | 74位 | 2018年 | 1月 | 160cm | 181cm | 483kg | 11歳 | 4万円 | 22'ジャパンC(G1) | 27戦6勝 | 54,968万円 | 3435% |
| ナミュール | 高野友和(栗東) | 31位 | 2020年 | 3月 | 157cm | 176cm | 424kg | 10歳 | 6.5万円 | 23'マイルCS(G1) | 18戦5勝 | 50,963万円 | 1960% |
| ドゥレッツァ | 尾関知人(美浦) | 112位 | 2021年 | 4月 | 154.5cm | 174cm | 428kg | 12歳 | 10万円 | 23'菊花賞(G1) | 13戦5勝 | 47,217万円 | 1180% |
| レシステンシア | 松下武士(栗東) | 51位 | 2018年 | 3月 | 153.5cm | 179cm | 482kg | 8歳 | 6.5万円 | 19'阪神ジュベナイルフィリーズ(G1) | 18戦5勝 | 44,952万円 | 1729% |
| カテドラル | 池添学(栗東) | 42位 | 2017年 | 2月 | 155.5cm | 175.5cm | 452kg | 13歳 | 10万円 | 21'京成杯オータムハンデキャップ(G3) | 37戦4勝 | 22,223万円 | 556% |
残りの25頭も見る
| 馬名 | 厩舎 | 募集時の担当厩舎 | 募集年 | 誕生月 | 体高 | 胸囲 | 馬体重 | 母齢 | 一口価格 | 主な勝鞍 | 通算成績 | 獲得賞金合計 | 回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シュヴァリエローズ | 清水久詞(栗東) | 24位 | 2019年 | 5月 | 154cm | 166.5cm | 402kg | 17歳 | 20万円 | 24'京都大賞典(G2) | 38戦5勝 | 29,266万円 | 366% |
| ワールズエンド | 池添学(栗東) | 10位 | 2022年 | 2月 | 152cm | 169.5cm | 426kg | 11歳 | 17.5万円 | 26'京王杯スプリングC(G2) | 11戦5勝 | 19,900万円 | 284% |
| マルシュロレーヌ | 矢作芳人(栗東) | 6位 | 2017年 | 2月 | 156.5cm | 180.5cm | 458kg | 15歳 | 7.5万円 | 21'ブリーダーズCディスタフ(G1) | 22戦9勝 | 19,327万円 | 644% |
| スルーセブンシーズ | 尾関知人(美浦) | 47位 | 2019年 | 4月 | 156cm | 177cm | 457kg | 13歳 | 4.5万円 | 23'中山牝馬S(G3) | 14戦4勝 | 19,170万円 | 1065% |
| グランディア | 中内田充(栗東) | 13位 | 2020年 | 3月 | 156cm | 180cm | 426kg | 18歳 | 14万円 | 26'新潟大賞典(G3) | 27戦5勝 | 17,996万円 | 321% |
| パントルナイーフ | 木村哲也(美浦) | 17位 | 2024年 | 4月 | 156.5cm | 170.5cm | 441kg | 12歳 | 20万円 | 25'東京スポーツ杯2歳S(G2) | 5戦2勝 | 17,478万円 | 218% |
| ザダル | 大竹正博(美浦) | 109位 | 2017年 | 2月 | 155cm | 172.5cm | 454kg | 9歳 | 4万円 | 22'京都金杯(G3) | 16戦6勝 | 16,996万円 | 1062% |
| ラヴェル | 矢作芳人(栗東) | 2位 | 2021年 | 2月 | 161cm | 183cm | 469kg | 11歳 | 7.5万円 | 24'チャレンジC(G3) | 17戦3勝 | 16,594万円 | 553% |
| コントラチェック | 蛯名正義(美浦) | 圏外 | 2017年 | 4月 | 155cm | 175.5cm | 449kg | 17歳 | 15万円 | 21'オーシャンS(G3) | 19戦5勝 | 15,089万円 | 251% |
| キラーアビリティ | 斉藤崇史(栗東) | 15位 | 2020年 | 1月 | 155cm | 174cm | 447kg | 11歳 | 25万円 | 21'ホープフルS(G1) | 18戦3勝 | 14,431万円 | 144% |
| ベレヌス | 杉山晴紀(栗東) | 74位 | 2018年 | 3月 | 156cm | 174cm | 457kg | 9歳 | 4万円 | 22'トヨタ賞中京記念(G3) | 32戦6勝 | 13,882万円 | 868% |
| グルーヴィット | 松永幹夫(栗東) | 57位 | 2017年 | 4月 | 151.5cm | 173cm | 444kg | 10歳 | 9万円 | 19'トヨタ賞中京記念(G3) | 25戦4勝 | 12,919万円 | 359% |
| シュトラウス | 武井亮(美浦) | 51位 | 2022年 | 1月 | 160cm | 181.5cm | 522kg | 19歳 | 12.5万円 | 23'東京スポーツ杯2歳S(G2) | 15戦4勝 | 10,337万円 | 207% |
| モントライゼ | 松永幹夫(栗東) | 9位 | 2019年 | 4月 | 152cm | 175cm | 462kg | 10歳 | 7.5万円 | 20'京王杯2歳S(G2) | 29戦3勝 | 9,522万円 | 317% |
| クラージュゲリエ | 池江泰寿(栗東) | 1位 | 2017年 | 2月 | 156cm | 171cm | 460kg | 11歳 | 12.5万円 | 18'ラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3) | 12戦2勝 | 9,299万円 | 186% |
| ロックターミガン | 石坂公一(栗東) | 71位 | 2024年 | 3月 | 160.5cm | 180cm | 516kg | 11歳 | 8万円 | 京浜盃 | 7戦3勝 | 8,711万円 | 272% |
| ファンダム | 辻哲英(美浦) | 95位 | 2023年 | 2月 | 153cm | 174.5cm | 460kg | 7歳 | 9万円 | 25'毎日杯(G3) | 8戦3勝 | 8,191万円 | 228% |
| スキルヴィング | 木村哲也(美浦) | 32位 | 2021年 | 3月 | 162cm | 182cm | 506kg | 10歳 | 8.5万円 | 23'青葉賞(G2) | 5戦3勝 | 7,402万円 | 218% |
| サンクテュエール | 田中博康(美浦) | 120位 | 2018年 | 2月 | 151cm | 175cm | 443kg | 11歳 | 20万円 | 20'シンザン記念(G3) | 16戦2勝 | 7,083万円 | 89% |
| パッシングスルー | 黒岩陽一(美浦) | 163位 | 2017年 | 3月 | 159cm | 176cm | 462kg | 11歳 | 5万円 | 19'紫苑S(G3) | 13戦3勝 | 7,052万円 | 353% |
| ギリーズボール | 手塚貴久(美浦) | 18位 | 2024年 | 5月 | 156cm | 174.5cm | 423kg | 14歳 | 12.5万円 | 26'フィリーズレビュー(G2) | 4戦2勝 | 6,078万円 | 122% |
| カナルビーグル | 佐藤悠太(栗東) | 圏外 | 2023年 | 2月 | 156cm | 175cm | 453kg | 11歳 | 9万円 | 25'ユニコーンS(G3) | 7戦3勝 | 5,898万円 | 164% |
| フィリアプーラ | 菊沢隆徳(美浦) | 59位 | 2017年 | 4月 | 149.5cm | 175cm | 426kg | 16歳 | 5万円 | 19'フェアリーS(G3) | 16戦2勝 | 5,697万円 | 285% |
| サンダーストラック | 木村哲也(美浦) | 17位 | 2024年 | 2月 | 158cm | 184cm | 490kg | 9歳 | 20万円 | 26'シンザン記念(G3) | 6戦2勝 | 5,018万円 | 63% |
| トータルクラリティ | 池添学(栗東) | 19位 | 2023年 | 1月 | 155cm | 174cm | 436kg | 11歳 | 7.5万円 | 24'新潟2歳S(G3) | 10戦2勝 | 3,858万円 | 129% |
上の2つの表と折りたたみを合わせた37頭が、594頭のうち重賞を勝った馬のすべて。一口価格は募集時のもの。
折りたたみまで開くと分かるが、同じ調教師が違う区分に出てくる。 リーディングの順位は毎年動くので、ここで見ているのは 「その馬を募集した年に、その厩舎がどのあたりにいたか」であって、 厩舎そのものに貼ったラベルではない。 募集の年に30位圏内にいた厩舎が翌年には落ちていることもあるし、その逆もある。 上の分類はそういうものとして見てほしい。
ちなみに体高の記事で見たとおり、一口価格そのものと成績の関係も ほとんど無い。値段でも預け先でも、そう簡単には決まらないということだと思う。
東西(美浦と栗東)は、言うほど差がない
ついでに、よく話題になる東西の別も見ておく。 こちらは所属地域なので年によって入れ替わることがなく、素直に比べられる。 対象594頭の内訳は美浦312頭・栗東282頭だ。
312頭 / 282頭
頭数
美浦 / 栗東
699万 / 930万
獲得賞金の中央値
p=0.0272
17% / 30%
回収率の中央値
p=0.0359
17頭 / 20頭
重賞馬
5.4% / 7.1%・差なし
9年ぶんをまとめると、獲得賞金の中央値は美浦699万円・ 栗東930万円で、検定はp=0.0272。 数字だけ見ると栗東寄りに出る。 ただし優越確率は0.55だ。 これは「両方から1頭ずつ選んだとき栗東のほうが上回る確率」で、 差がなければ0.50になる。0.55はほぼ五分と読むのが 正直なところだと思う。
そして重賞馬率(5.4%対7.1%)と出走率には差がなく、直近5年(2021〜2025年募集)だけで見ると賞金の差も消える(p=0.4905)。 重賞馬率にいたっては、直近5年ではむしろ美浦のほうが高い (5.1%対2.9%)。 父の系統で切っても方向はばらついて、エピファネイア・モーリスといったロベルト系は美浦のほうが上、 それ以外の系統は栗東のほうが上、と揃わない。
| 父の系統 | 美浦(頭数・賞金中央値) | 栗東(頭数・賞金中央値) |
|---|---|---|
| サンデー系 | 117頭・600万円 | 108頭・786万円 |
| キングマンボ系 | 85頭・440万円 | 68頭・836万円 |
| ロベルト系 | 47頭・1,384万円 | 48頭・1,210万円 |
| その他 | 63頭・588万円 | 58頭・970万円 |
父の系統は主要3系統(サンデー系・キングマンボ系・ロベルト系)だけを分類し、 残りはすべて「その他」にまとめている。「その他」は中身が混ざった袋なので、 系統としての比較には使えない。
まとめると、古い募集ぶんではわずかに栗東寄りの数字が出るが、最近の募集では消えている。 少なくともキャロットの募集馬に関しては、 東西のどちらかというだけで出資先を選り分ける材料にはならなさそうだ。
ちなみに、数字の大きさだけで言えばこの東西の賞金差のほうが、 記事の前半で見たリーディングの差よりまだ出ている。 そのリーディングの差ですら「ほぼ五分」で片付く程度、ということでもある。
この記事で言えないこと
弱い結果ほど読み違えられやすいので、限界を書いておきたい。
1. 出走率が上位側で低い理由は、この集計からは分からない。3本の線すべてで向きが揃い、30位以内では検定も通っている(p=0.0015)ので、 偶然の揺れとしては片付けにくい。ただしなぜそうなるのかは別の話で、 厩舎ごとの預かり頭数の構成の違いかもしれないし、まったく別の要因かもしれない。 そこは検証していないので、原因については何も主張しない。
2. 単年のリーディング順位は、調教師のキャリア全体の評価ではない。リーディングはその年の勝利数だけで決まるので、順位は年ごとにかなり動く。 ある年に30位圏外だった厩舎が翌年には20位以内、ということも珍しくない。 この記事で見ているのは「募集した年に、たまたまどのあたりにいたか」という一点で、 その厩舎の実力を測ったものではない。
3. これはキャロットがどの厩舎に預けたか、という話であって、調教師個々の優劣ではない。分けているのは「募集年のリーディングで上位N位に入っていたか」だけで、 個別の厩舎について何かを言える集計ではない。実際、同じ調教師が募集年によって 両方の区分に出てくる。
4. 弱い結果なので、「上位厩舎は避けるべき」という逆方向の主張もできない。ここが一番大事だと思う。3本の線で切って重賞馬率が0.05を下回ったのは20位以内の1本だけで、 10位に寄せても30位に広げても消える。順位が本当に効いているなら上位に寄せるほど 差が大きくなるはずで、その形にはなっていない。 賞金の逆転にいたってはp=0.7533で、差の証拠としては何も残らない。「上位側が有利」も「上位側が不利」も、 このデータでは支持されないというのが正確な読み方で、 出走率の逆転だけは無視できない、というくらいの温度感になる。
5. 新しい募集年の馬は、まだ結果が出そろっていない。賞金は走った年数ぶん積み上がるので、募集年が古い馬ほど数字が大きく出る。2024・2025年募集の馬は、これから成績が動く。
まとめ
- 募集時点で担当調教師がJRAリーディング10位以内だった87頭の 重賞馬率は8.0%、 それ以外507頭は5.9%(p=0.4478)。獲得賞金の中央値は856万円対782万円で、 1割ほど上位側が高いがp=0.4146。いちばん厳しい線で切っても差が出なかった。
- 20位以内で切ると重賞馬率だけ10.3%対4.7% (p=0.0108)と差が出るが、 30位まで広げると8.1%対5.1% (p=0.1432)で消える。線の引き方で出たり消えたりする。
- 獲得賞金は、線を広げると上位側のほうが低くなる(30位以内で627万円対833万円・p=0.7533)。 ただし検定には何も出ておらず、「上位に預けると稼ぐ」という向きの数字もどの線でも出なかった。
- 唯一はっきりしたのは出走率で、しかも逆向き。 3本の線すべてで上位側が低く、 30位以内では73.4%対84.1% (p=0.0015)と10ポイント以上ひらく。 10位以内(75.9%対80.9%・p=0.2796)・ 20位以内(78.2%対80.9%・p=0.4594) では検定に届かないので、通ったのは30位以内の1本だけ。理由は分からない。
- 直近5年(2021〜2025年募集366頭)でも、上位が強い形にはならない。賞金中央値は向きが揃わず(20位以内だけ上位側が高い)、出走率は3本とも上位側が低くて 30位以内でp=0.0249。
- 重賞を勝った37頭のうち19頭は30位外の厩舎から。獲得賞金5億円超の6頭は10位以内1頭・11〜20位2頭・30位外3頭とばらけていて、 最高額はエフフォーリア(7億7,663万円・募集時37位)だった。
- 東西も言うほど差がない。9年ぶんでは賞金中央値が美浦699万円・栗東930万円 (p=0.0272)だが、優越確率0.55とほぼ五分で、 直近5年では消える(p=0.4905)。
- 実務的には、募集馬一覧の厩舎欄を見るときに、想像しているほど当てにはならない、というくらいの重みに下げておくのが、 このデータの形には一番合っていると思う。 厩舎名で加点も減点もしないぶん、他の材料をじっくり見られる。
データについて
集計対象は2017〜2025年募集のうち現在JRAに所属している594頭。 募集後に地方へ移った馬は含んでいない。
「リーディング上位」の判定は、各馬の募集年のリーディング順位で行っている。 対象9年ぶんすべてに実際のリーディングの表があり、代用した年はない。
重賞と獲得賞金は2026年9月時点の集計で、現役馬はこの先変わっていく。 獲得賞金は中央(JRA)と地方(NAR)の合計で、海外レースの賞金は含まない。 賞金は走った年数ぶん積み上がるので、募集年が古い馬ほど有利に出る点にも注意がいる。 「重賞馬」は中央のG1〜G3・Jpn1〜3と地方重賞を1勝以上した馬の頭数で、重賞の勝ち数ではない。 募集総額は一口価格 × 口数で、回収率は獲得賞金合計 ÷ 募集総額。 会費・維持費や引退時の売却額は入っていないので、実際の配当ではなく規模感の目安として見てほしい。
p値は「差がまったくないとしたら、これくらいの偏りが偶然出る確率」の目安で、 小さいほど偶然では説明しづらいことを意味する。詳しくは分析記事の読み方にまとめてある。 統計の数字はあくまで傾向の目安で、これだけで「この厩舎なら走る/走らない」と 言えるものではない。出資判断の材料というより、趣味の分析として楽しんでもらえたら。