母馬の年齢と成績の関係を見てみた

「高齢の母馬より、脂の乗った若い母馬の産駒の方が良いのでは」というのは一口馬主界隈で たまに聞く話で、私も募集馬を選ぶときに何となく母の年齢を気にしていた。前回の体高の記事に続いて、今度はこの「母齢」を実際のデータで 確かめてみた。2017〜2025年募集(2017年84頭・2018年83頭・2019年86頭・2020年92頭・2021年91頭・2022年94頭・2023年96頭・2024年96頭・2025年93頭)に、2026年8月時点の獲得賞金・通算成績を 突き合わせた独自集計。

母齢の分布

まず母集団を見ておくと、815頭の母齢は5〜22歳に広く分布していて、 特定の年齢に偏っているわけではなかった。2歳刻みでヒストグラムにするとこんな感じ。

母齢の分布(全815頭・2歳刻み)

3頭4〜665頭6〜8211頭8〜10159頭10〜12128頭12〜1491頭14〜1678頭16〜1850頭18〜2027頭20〜223頭22〜24

母齢の分布(全815頭・2歳刻み): 4〜6 頭数 3頭、 6〜8 頭数 65頭、 8〜10 頭数 211頭、 10〜12 頭数 159頭、 12〜14 頭数 128頭、 14〜16 頭数 91頭、 16〜18 頭数 78頭、 18〜20 頭数 50頭、 20〜22 頭数 27頭、 22〜24 頭数 3頭

母齢 × 獲得賞金合計

出走済みの686頭で、母齢と獲得賞金合計(中央+地方、万円)を散布図にしてみた。 相関係数は r=-0.017。体高(前回の記事でr=0.2台)はおろか、 「ほぼ無相関」と言っていた一口価格よりもさらにゼロに近い数字で、率直に言って母齢から成績はまったく読めなかった。獲得賞金合計が1億円を超える45頭はグラフの外に出るため省略した (後述の代表馬紹介を参照)。

母齢 × 獲得賞金合計(出走済み・1億円未満641頭)

02.5k5k7.5k10k5101520獲得賞金合計(万円)母齢(歳)

母齢階級別に見ると

4階級に分けて平均を取っても、はっきりした傾向は出なかった。棒の高さがバラついては いるけれど、年齢が上がるにつれて右肩上がり/右肩下がりになるような単調な並びには なっていない。

母齢階級別 平均獲得賞金合計

3,016万円〜8歳全182頭・重賞馬7頭3,626万円9〜11歳全256頭・重賞馬20頭2,853万円12〜14歳全175頭・重賞馬6頭3,302万円15歳〜全202頭・重賞馬11頭

母齢階級別 平均獲得賞金合計: 〜8歳 平均獲得賞金合計 3,016万円(平均の母数(出走済み)151頭)(全182頭・重賞馬7頭)、 9〜11歳 平均獲得賞金合計 3,626万円(平均の母数(出走済み)224頭)(全256頭・重賞馬20頭)、 12〜14歳 平均獲得賞金合計 2,853万円(平均の母数(出走済み)143頭)(全175頭・重賞馬6頭)、 15歳〜 平均獲得賞金合計 3,302万円(平均の母数(出走済み)168頭)(全202頭・重賞馬11頭)

母齢階級別 平均勝ち数

1.68勝〜8歳1.71勝9〜11歳1.71勝12〜14歳2.11勝15歳〜

母齢階級別 平均勝ち数: 〜8歳 平均勝ち数 1.68勝(頭数151頭)、 9〜11歳 平均勝ち数 1.71勝(頭数224頭)、 12〜14歳 平均勝ち数 1.71勝(頭数143頭)、 15歳〜 平均勝ち数 2.11勝(頭数168頭)

実際にどんな馬がいたか

この815頭の中で実際に重賞を勝った44頭を獲得賞金の多い順に 並べておく。母齢の列を見てもらうと分かる通り、7〜19歳までほぼ 全域にわたって重賞馬が出ている。表が長くなるので、開いているのは上位10頭で、 残り34頭はその下の折りたたみに入れてある。

馬名募集年体高母齢一口価格主な勝鞍通算成績獲得賞金合計
エフフォーリア2019年158cm10歳7万円21'有馬記念(G1)11戦6勝77,663万円
タスティエーラ2021年158cm7歳7万円23'日本ダービー(G1)15戦4勝65,897万円
ヴェラアズール2018年160cm11歳4万円22'ジャパンC(G1)27戦6勝54,968万円
サートゥルナーリア2017年156cm15歳35万円19'皐月賞(G1)10戦6勝52,358万円
ヘデントール2022年154cm9歳9万円25'天皇賞(春)(G1)11戦6勝51,610万円
ナミュール2020年157cm10歳6.5万円23'マイルCS(G1)18戦5勝50,963万円
ドゥレッツァ2021年154.5cm12歳10万円23'菊花賞(G1)13戦5勝47,217万円
レシステンシア2018年153.5cm8歳6.5万円19'阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)18戦5勝44,952万円
シックスペンス2022年151cm9歳12.5万円26'安田記念(G1)14戦6勝42,069万円
レイパパレ2018年155cm15歳15万円21'大阪杯(G1)15戦6勝39,314万円
残りの34頭も見る(獲得賞金11位以下)
馬名募集年体高母齢一口価格主な勝鞍通算成績獲得賞金合計
クリソベリル2017年161.5cm15歳14万円19'チャンピオンズC(G1)11戦8勝37,960万円
ライトウォーリア2018年157cm8歳5万円24'川崎記念(G1)40戦10勝31,809万円
シュヴァリエローズ2019年154cm17歳20万円24'京都大賞典(G2)38戦5勝29,266万円
カテドラル2017年155.5cm13歳10万円21'京成杯オータムハンデキャップ(G3)37戦4勝22,223万円
セラフィックコール2021年158cm8歳7.5万円24'ダイオライト記念(G2)18戦7勝21,553万円
ワールズエンド2022年152cm11歳17.5万円26'京王杯スプリングC(G2)11戦5勝19,900万円
マルシュロレーヌ2017年156.5cm15歳7.5万円21'ブリーダーズCディスタフ(G1)22戦9勝19,327万円
スルーセブンシーズ2019年156cm13歳4.5万円23'中山牝馬S(G3)14戦4勝19,170万円
グランディア2020年156cm18歳14万円26'新潟大賞典(G3)27戦5勝17,996万円
パントルナイーフ2024年156.5cm12歳20万円25'東京スポーツ杯2歳S(G2)5戦2勝17,478万円
ザダル2017年155cm9歳4万円22'京都金杯(G3)16戦6勝16,996万円
ラヴェル2021年161cm11歳7.5万円24'チャレンジC(G3)17戦3勝16,594万円
バーデンヴァイラー2019年156cm17歳12.5万円23'佐賀記念(G3)20戦7勝15,280万円
コントラチェック2017年155cm17歳15万円21'オーシャンS(G3)19戦5勝15,089万円
キラーアビリティ2020年155cm11歳25万円21'ホープフルS(G1)18戦3勝14,431万円
パラレルヴィジョン2020年156cm8歳12.5万円24'ダービー卿チャレンジT(G3)23戦6勝13,898万円
ベレヌス2018年156cm9歳4万円22'トヨタ賞中京記念(G3)32戦6勝13,882万円
グルーヴィット2017年151.5cm10歳9万円19'トヨタ賞中京記念(G3)25戦4勝12,919万円
ノーヴァレンダ2017年159cm14歳7万円18'全日本2歳優駿【国際交流】(G1)18戦6勝11,954万円
フェブランシェ2021年160.5cm15歳6万円25'スパーキングレディーC((G3)18戦6勝11,312万円
シュトラウス2022年160cm19歳12.5万円23'東京スポーツ杯2歳S(G2)15戦4勝10,337万円
モントライゼ2019年152cm10歳7.5万円20'京王杯2歳S(G2)29戦3勝9,522万円
クラージュゲリエ2017年156cm11歳12.5万円18'ラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)12戦2勝9,299万円
ロックターミガン2024年160.5cm11歳8万円京浜盃7戦3勝8,711万円
ファンダム2023年153cm7歳9万円25'毎日杯(G3)8戦3勝8,191万円
ダイアナブライト2017年154cm8歳14万円21'クイーン賞(G3)18戦5勝7,780万円
スキルヴィング2021年162cm10歳8.5万円23'青葉賞(G2)5戦3勝7,402万円
サンクテュエール2018年151cm11歳20万円20'シンザン記念(G3)16戦2勝7,083万円
パッシングスルー2017年159cm11歳5万円19'紫苑S(G3)13戦3勝7,052万円
ギリーズボール2024年156cm14歳12.5万円26'フィリーズレビュー(G2)4戦2勝6,078万円
カナルビーグル2023年156cm11歳9万円25'ユニコーンS(G3)7戦3勝5,898万円
フィリアプーラ2017年149.5cm16歳5万円19'フェアリーS(G3)16戦2勝5,697万円
サンダーストラック2024年158cm9歳20万円26'シンザン記念(G3)6戦2勝5,018万円
トータルクラリティ2023年155cm11歳7.5万円24'新潟2歳S(G3)10戦2勝3,858万円

折りたたみを開いた44頭が、815頭のうち重賞(中央G1〜G3・Jpn1〜3、 地方重賞含む)を勝った馬のすべて。

デビュー時期の偏りではないか?

直近の募集組(2022〜2025年)は未出走が多く、それだけで「若い母の方が成績が良く見える」 ような見かけ上の偏りが出ないか気になったので、レースを重ねている 2017〜2021年募集(436頭)だけに絞って相関係数を出し直した。 結果は r=0.004。絞り込む前(r=-0.017)とほぼ変わらず、 デビュー時期の偏りで説明できる差ではなかった。

まとめ

データについて

母齢は「募集年 - 母馬の生年」で算出した年齢で、実際の出産時の年齢(誕生日ベース)とは 1歳前後ずれることがある。母馬自身のnetkeibaページを特定できなかった3頭は集計から除外している。競走成績は2026年8月時点のスナップショットで、今後レースを重ねるたびに変わっていく。 直近の募集組はまだ大半が未出走〜デビュー間もないため、今回の集計は出走済みの686頭が中心になっている点は割り引いて見てほしい。獲得賞金は中央(JRA)・ 地方(NAR)の合計で、海外レースで得た賞金は含まれていない。 相関係数はあくまで線形の関係の強さの目安で、これだけで「母齢が成績に影響しない」と 断言できるわけではない。出資判断の材料というより、あくまで趣味の分析として楽しんで もらえたら。

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